1999-02-07

誕生日のケーキ

  

厳寒期だというのに

春の日のように暖かい午後。

2 階の窓から外を覗くと

家の周囲の林床の雪に

樹々の影が長く伸びているのが

とてものどかだ。

    

  

眠くなるような午後の陽射し

耳を澄ますと、冬の午後の静けさの音がする。

白樺の幹の淡い白さと

遠くのハンノキの小枝が

一本だけ微かに(かすかに)揺れているのが

耳に痛いほどの静けさを誘う。

    

      

先刻、自動車で山を下り

「高原のパン屋さん」に行って来た。

誕生日には、自分の好きなケーキを二つ

可愛らしい箱に入れてプレゼントしてくれるからだ。

勿論、僕は大好きなイチゴのショートケーキと

フカフカなミルフィーユとを選んで来た。

   

  

ショートケーキを食べて、紅茶を飲んでいたら

フォークについた生クリームが勿体なくて

思わず、舐(な)めてしまった。

その後で「品(しな)ちゃん、美味しかったよ!ゴチソウサマ!」

と言ったら、品ちゃんの顔が浮かんで来た。

品ちゃんは「高原のパン屋さん」の優しい社長さんだよ。


  

    

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