1998-11-23

間の抜けたヒュッテ

  

  

さっき迄、あんなに楽しかったヒュッテが

家内が東京に帰ってしまったら、急に淋しくなってしまった。

・・・・ガランとして、間の抜けたヒュッテ

昼食の食器を拭きながら、室内からベランダを眺めると

初冬の午後の淡く低い陽射しに、手摺りの影が長く伸びていた。

  

  

    スッカリと葉の落ちた庭の白樺の彼方の空に

    キラキラと銀色にたなびく谷あいの雲。

    そのまた遥かな紺碧の空を

    今日も又、ジェット機が一機、飛行機雲を残しながら西の空へと飛んで行く。

    昨夜降った初雪も、もうところどころの木陰にしか残っていない。

  

  

自動車の上に積もった雪を

「東京まで、そのまま積んで帰りたい」と言って、僕を大笑いさせた家内。

僕が HA レイの「星座を見つけよう」の絵本を読んでいると

「おとといの夜、獅子座のすぐ傍にあった火星を

どうして獅子座に入れないのかしら・・・・」と言って、僕を爆笑させた彼女。

  

  

    その家内を乗せた車が、「アルタイル通り」の坂を下り

    その先の坂を上って、カラマツ林に消えたのは、もう 2 時間も前。

    家内が発った時には、初冬の淡い陽射しがまだ一面に輝いていた庭も

    今では、すっかりと陰ってしまい、小鳥達もねぐらへ帰っていく。

    ・・・・家内とコッチロは、今頃どの辺を走っているのだろうか?

  

  

  

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