1998-09-21
気だるい程に幸せな休日の朝
大好きな二階の窓際のロッキングチェアに坐り
ぼんやりと窓の外の景色を眺めている。
台風 7号の余波で揺れる白樺に注ぐ雨
そのかすかな薄日に照らされて、鈍く光る鉛色の糸が
夏が終わり、人気(ひとけ)の無い隣家の別荘の屋根に吸い込まれている。
火の点いていないストーブの上に置かれたハーブティーの香り
窓辺のピンク色のゼラニウムと読み古したヘッセの「郷愁」
それから、壁に掛かっている家内が描いた油絵に囲まれていると、とても幸せだ。
ふと、十日ほど前に遊びに来てくれた女性達の事を思い出す。
若くて、しなやかで、明るかった三人の女性達。
彼女達と同じ空気を吸えることが、どんなに僕を幸せにしたことか!
「ハンノキの木陰が、雅美達の気に入ったみたい!!」と言ったら
「よかったわ。とても嬉しい・・・・」と言った家内に
「雅美と桂花と好美ちゃまが大好きになっちゃった」と言ったら
(またア・・・・?)と言いた気に、アキレ顔をされてしまった。
若い女性が傍にいると、落ち着かない僕だけれど
最近の僕は、ますます家内が好きになって来ている。
一昨日、久方振りにヒュッテにやって来た家内と一緒に過ごした夜が
今迄の僕の人生の中で、一番幸せな日だった様な気がする。
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