1998-03-25
目覚ましをかけないで
いつ迄もベッドの中でヌクヌクしている。
もう春が来て、朝の寒さも緩(ゆる)んできたというのに、
一向にベッドの外に出ようとしない。
「そうだ、サキソフォンのネジが、ひとつ錆(さ)びていたっけ・・・・!!」
楽器のことを思いだして、ノッソリとベッドから這いだした。
そしたら、壁の小さなヌード・ピンナップが目に飛び込んで来たので、
豊かな胸に小さなウィンクを送った。
食卓には、暖かい春の陽射しが一杯、
一時間もかけて、ユックリと朝食をとる。
部屋の中には、大好きなフリオ・イグレシアスの
「人生を忘れて」やちょっとエッチな「マヌエラ」が流れている。
・・・・どうしてだかは分らないけど
ふと、サガンの「悲しみよ、こんにちは」を思いだした。
ベランダの雪は、もうすっかり溶けたのに
庭の芝生の上には、まだ40センチも雪が残っている。
食後の紅茶を楽しみながら
「今日は何をしようか・・・・・?」と考える。
サキソフォンをピカピカに磨いてから
ハーブティーを飲みながら、描き掛けの水彩画を完成しよう。
白い雪靴を履いて
まだ誰も歩いていない真っ白な雪の上を歩いてみよう。
「それからヴァイオリンを奏いて・・・・東京の家内に電話して・・・・それから」
こんな事を考えているうちに、半日が経ってしまう。
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