プティリッツァ達はお金って持っているの?
プティリッツァ達が使っている「お金」って、どんなお金なんだろう・・・・・?
ある時・・・・・・私は、そんな事に興味を持ったことがあります。・・・・・・って言うのは、プティリッツァ達はしばしば
「・・・・・・人間って、どうしてあんなにお金に振り回されるんだろう?」
と言っては、クスクスと笑っていたからです。そこで、ある時、一人のプティリッツァに
「・・・・・・どうして、そんなに可笑しいの・・・・・・?」
と聞いてみたら、
「だって、そうでしょう? ・・・・・・お金なんていうものは、もともと、生活に必要なものを調達する時に使う物なのに、人間達は、そのお金に特別な力・・・・・・ん〜と、お金は何年間持っていても腐らないとか、お金の貸し借りには利子がつくなんていう様な・・・・・・特別な力を与えてしまった為に、お金を神様みたいに崇拝しちゃう人達が出て来たり、自分は働かないでひとのお金を横取りする事を考える人達が出て来たんですよ!」
と言って、また、爽やかにクスクスと笑うのです・・・・・・!そこで、
「それでは、あなた達の世界にはお金はないの?」
と訊いたら、彼は少し困ったような顔をして
「ウ〜ン・・・・・・私達 Ptylitza の世界にですか〜?」
と言うと、静かに考え考え
「そうですね〜、あると言えばあると言えるし、無いと言えば無いと言えるし・・・・・?」
と、訳の分らない事を言うのです。
そこで、僕が
「え? 何んですか、それって? ・・・・・・あると言えばあると言える「お金」で、同時に、無いと言えば無いと言えるような「お金」・・・・・・って? そんなの「お金」じゃないですよ・・・・・・!!」
と言うと、そのプティリッツァは、笑いながら・・・・・・
「・・・・・・そうですよね、確かにあなた達人間の感覚で言うと、私達の”お金”を見たら、こんなのはお金じゃない・・・・・・ということになると思いますよ。 でもね〜」
と言ったかと思うと、今度は
「でも、そのお金・・・・・・ 私達の言葉でクヌッツェル (Knutzer) と言いますが・・・・・・そのクヌッツェルでも、人間世界のお金のように、物を買うことが出来るのです!」
と言うじゃありませんか・・・・・・?そこで、私が
「じゃあ、人間世界の”お金”と、その”クヌッツェル”は・・・・・・一体、何がちがうんです?」
と訊くと、そのプティリッツァは
「そうですね〜? 何が違うかといいますと・・・・・・・」
と、少し考えていましたが、ふと顔を上げると
「そうですね〜? 少し乱暴な言い方をしますと・・・・・・そう、何から何までが違いますね〜!!」
と言うじゃありませんか・・・・・・!
そこで、
「それじゃあ、人間の”お金”と、その”クヌッツェル ”の一番おきな違いは何んですか?」
と訊くと・・・・・・
「一番大きな違いは、人間のお金は、発行後ズ〜〜ット使えますが、”クヌッツェル ”は、発行後2年程すると”クヌッツェル ”ではなくなっちゃうんです・・・・・・」
「えっ? ”クヌッツェル ”じゃなくなっちゃうんですか・・・・・・?」
と言うと
「・・・・・・そうです! ”クヌッツェル”は2年ほど経つと、”クヌッツェル”としての役目を終えて、流通通貨としての価値はなくなってしまうんです・・・・・・・」
と言って、涼しげにクスクスと笑うのです・・・・・・
・・・・・・ビックリした僕が
「それじゃあ、”クヌッツェル”を持ってる人は困るでしょう?」
と訊くと
「イヤ〜、そんな事はありません。 そりゃあ、人間の目から見ると、驚天動地の事かも知れませんが・・・・・・その為に、プティリッツァの世界では守銭奴も皆無だし、借金の利子に苦しむ人も皆無、その上、強盗もヒッタクリも馬鹿げて無意味な行為になってしまうので、そんな愚かな事に手を染める人は誰もいない為・・・・・・私達プティリッツァは、静かで豊かな生活を楽しむ事が出来るのです・・・・・・・」・・・・・・・・・・・・・
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そこで、もともと好奇心の旺盛な筆者は、このプティリッツァに色々な質問をした結果、このプティリッツァ達の”お金”である”クヌッツェル”なるものが、おおよそ、どのような貨幣であるかが分って来たのです。・・・・・・それでは
その時、知り得た事を、次に書いて置く事にいたしましょう!!
プティリッツァ達が使っている”お金”・・・・・・
”クヌッツェル (Knutzer)”とは、こんな物です・・・・・・!!
●1. プティリッツァの”お金”、クヌッツェル (Knutzer)の作り方クヌッツェル (Knutzer)は、ハーブや森に落ちている小枝などをよく乾燥させた後、プティリッツァの技術で、細かく砕いてサラサラな粉末にし・・・・・・これを爽やかな香りの強い針葉樹のヤニと、ミツバチから分けてもらった無臭の蜜蝋を混ぜて作った上質で接着剤で、精巧に固めて作ったコイン状の通貨です。
●2. プティリッツァの”お金”、クヌッツェル (Knutzer)の通用期間は約2年です。この様にして出来た”クヌッツェル”は、出来上がった瞬間から少しづつ芳香を失い始め、2年程たつと有機性の接着剤もその効力が失われ、いつの間にかフカフカの腐葉土状のものに変質してしまいます。
”クヌッツェル”がこの様な状態になると、プティリッツァ達は、フカフカになった”クヌッツェル”を、青白い月光の美しい夜に森の老木の根元にソッと撒き散らし、「Qinq livo ropitax ! (キンク・リーヴォ・ロピータフ・・・・さあ、揺り籠にお戻り!)」と言いながら、草の葉に溜まった夜露をかけて上げるんだそうです。
・・・・・・だから、森の老木達は、いつまで経っても元気なのかも知れませんね・・・・・・!!
●3. ”お金”(”クヌッツェル”)に執着するプティリッツァは一人も居ません。人間の世界には、拝金主義者、守銭奴・・・・・・等々、お金に執着する人々を表す言葉は幾つかありますが、プティリッツァの世界では、このような単語が用いられる事は全くと言っていい程、ありません。
・・・・・・それは何故かと言いますと、”お金”(”クヌッツェル”)を溜め込んでも、2年程たつとフカフカの腐葉土に姿を変えてしまうので、”お金”(”クヌッツェル)をたくさん溜め込んでも、何んの意味も無いからです。
そんな事よりも、”お金”(”クヌッツェル)はどんどんと使ってしまう方がずっとイイ訳で、この意味からもプティリッツァの世界には守銭奴は居りませんし、貨幣の流通も非常にスムースに行われるのです。
●4. 売買は、どのようにして行われるのですか?まず第一に言える事は、プティリッツァ達は”お金”(”クヌッツェル)を使って物を売買するよりも、現物の物々交換をする方が、遥かに好きだという事です。・・・・・・と言うのは、物を売って”お金”を受け取ると、”お金”がどんどんと溜まってしまうからです。 私達、人間は”お金”が溜まると喜びますが、プティリッツァ達は、そうではありません。
と言いますのは、”お金”が溜まると、”お金”の価値が目減りしてしまい、何の益にもならないからです。
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それでは、プティリッツァ達は、どんな時に物を売るのでしょうか?
それは、自分のもっている物を相手が欲しがっており、相手が持っているものの中に、自分たちが欲しい物が無い場合です。 その場合は、仕方なく、物を売って”お金”を受け取るようです。
でも、その場合でも、受け取った”お金”はなるべく早く、使おうとするようです!!
●5. プティリッツァの世界には、利子という考え方がありません。プティリッツァの世界には”お金”(”クヌッツェル)を貸して、利子を取るという考え方は存在しません。
・・・・・・と言いますのは・・・・・・価値が毎日毎日減っていくような”お金”(”クヌッツェル”)を、利子を払っても借りたいと思うような人は誰もいないからです。 それよりも、相手が欲しいものと、自分が欲しいものを物々交換するほうが、ずっと効率的な事をプティリッツァ達は経験を通してよく知っているからです。
●6. プティリッツァ達にとって、”お金”が一番役に立つ時は、どんな時ですか?プティリッツァにとって、”お金”が一番役に立つのは、旅行をした時です。
いくら、プティリッツァが物々交換が好きだからと言っても、旅行をするあいだ中、物を持って歩く事は出来ないからです。
●7. プティリッツァ達の”お金”(”クヌッツェル”)は、作るのが余り難しくないようですが
”お金”が偽造される事は無いのでしょうか?その心配は、全くありません・・・・・・
と言いますのは、”お金”を偽造するという行為自体が、(自分さえよければ、それでいい・・・・・・!!)という気持ちに繋がるからです。
ですから、贋金を作っても、それを使う瞬間に・・・・・・”自分さえ良ければそれでいい!”という贋金作りの気持ちが、贋金を掴ませようとした相手のトバルジャンカで察知され・・・・・・
不愉快な気分になった相手のプティリッツァは
(これはオカシイぞ・・・・・・?)と思うより前に・・・・・・贋金を作ったプティリッツァの傍に絶対に近づこうとしなくなるからです!
だから、そんな・・・・・・「贋金を作る」という様な愚かな行為は、プティリッツァの誰もが、全体にしないのです!!
プティリッツァ達が使っている”お金”(”クヌッツェル (Knutzer)”)とは、このような貨幣です・・!! この他にもお知りになりたい事がありましたら、ご自由にご質問なさってみて下さい・・・・・・知っている範囲だけですけど、出来るだけ、丁寧にお答えするように致します・・・・・!
(2003-04-01 記)