(2005-08-26 : ヒュッテ)
あんまり気持ちがいい朝なので久方ぶりに、ベランダに真っ白いテーブルセットを持ち出し
台風が過ぎ去った後の、爽やかな風を全身に受けながら
モーニングティをユックリと楽しんでいる。
昨夜の台風の名残の風は白樺の梢に鳴っているけど
朝の澄んだ空気を微かに震わすだけで
台風が遠くに行ってしまった事を
白樺の樹は全身で喜んでいるみたいだ。
ベランダの床には、湿った白樺の黄葉と小鳥達の餌台からこぼれた
ヒマワリの殻(から)が散らばっているけど
その散らばり方も・・・・・・心から
台風が往ってしまった事を、喜んでいるみたいだ。
ついこの間刈った庭の草は台風が来た為に、まだ庭一面に散らかっているけど
ヒョウモンチョウ達が、その枯れ草の上を
嬉しそうに、美しい輪を描きながら、音も無く飛び回っている。
この静けさの中で、一人、ユックリと大好きな紅茶を飲んでいると
このヒュッテに居る幸せと、生きている幸せを
からだ全体で沁み々々と感じてしまう。
白い椅子に座ったまま、全身の力を抜き思い切り首を後ろに曲げ
胸一杯に、澄んだ空気を吸い込んだら・・・・・・
白樺の梢が爽やかな風に揺れ
その遥か上に、薄い高積雲がユックリと流れているのが眼に入った。
気が付くと、暖炉の煙突のそばスレスレにキイロスズメバチが一直線に飛んで行き
どうしたはずみか・・・・・・白樺の葉がたった一枚、風に流されて行き
二匹が繋(つな)がったアカトンボが視界を横切り
キラキラと光りながら・・・・・・
二頭のオオウラギンスジヒョウモンが、お互いの周りをクルクル廻りながら
白樺林の梢の彼方へと高く高く舞い上がって行った。
・・・・・・と・・・・・・僕のすぐ近くの手摺の上に置いてある餌台に飛んできたシジュウカラの幼鳥が
僕が居るのに気付いて驚いた様に、首を傾げて僕を眺め
僕が静かに座っているのに安心したのか
ヒマワリの種を一粒だけ口に咥 (くわ)えると
ズミノキの葉陰に飛び去った。
本当に素晴らしい台風一過の朝こんなに素晴らしい天気になったのだから
軽井沢であした・あさってと開かれる
卓球の合宿もとても楽しいものになるだろう
そんな事を考えていたら
きのうの夕方、僕の携帯に飛び込んできた
LYPP の美しい Y さんからのメールを、ふと思い出した。
「女性だとばかり思っていたから、八岳さんだとは気が付かなくて・・・・!
合宿こちらこそヨロシクお願いします。
台風、当日は大丈夫そうですね・・・・・・」
本当に久方振りに、僕がメルアドを変更した後、
慌てた拍子に、自分の名前も書かずに、メールを送ったので
彼女は、少し戸惑ったみたい・・・・・・
・・・・・・だって、その慌てン坊のメールを発信した直ぐ後に
「ゴメンナサイ。 メールアドレス変わったのかナ~? 誰なの!?」
って・・・・・・僕の携帯に返信があったから・・・・・・・
(2005-09-04 掲載)