85. 五月の朝

   (2003-05-19 の日記より)  

耳を澄ますと・・・・・・

軒先から落ちる雨音がチョボチョボと鳴っている。

雨の五月の午前のひととき

リビングの籐椅子に腰をおろして

ポツネンと庭を眺めている僕。

    

    

レンガの踏み石の間には苔が生え

その苔は雨水を吸って、ふっくらと息づいている。

目の前の大きなガラス戸を一杯に覆うボケの新緑

葉の間を透かして見ると、鉛色の細い雨足が無数に見え

時折り、葉に溜まった雨水がポツリと落ちて

下の葉を微かにふるわせている

    

   

静かで美しい五月の朝

ボンヤリと・・・・・・

ボケの根元の白い斑入りのギボウシを眺めていると

隣の部屋のラジオから

都内の交通情報が眠たげに聞こえて来る。

・・・・・・きっと、アイロンを掛けながら洗濯物を片付けている

家内が聞いているのだろう・・・・・・

    

     

そのラジオの音が、雨の朝の静けさを一層引き立てている。

こんな静かな朝、居間の籐椅子に腰掛けてボンヤリしていると

何回も、何回も、生欠伸(なまあくび)が出てしまう。

今もそう!

・・・・・・両腕を思い切り伸ばして

大きな欠伸を一つしたら

耳の奥の方が 「クア〜〜ッ!」と鳴ったよ。

    

    

こんな朝は、美味しい紅茶を飲みながら

ユックリと世界史の本を読んだり

大好きなバイオリンを、日がな一日、

好きなだけ奏きながら

のんびりとした一日を、静かに過ごす事にしよう・・・・・・
     

(2004-03-21 掲載)