2001-09-30

No. 71 9月の朝

    


    
     

        

 長閑(のどか)な9月の朝

 いつものようにラジオのスイッチを捻ったら

 いきなりシューベルトの 「楽興のとき」 のピアノが流れ始め

  「音楽のおくりもの」 の番組が始まった

    

    

 もう何年も続いている、懐かしい番組・・・・・・・・・

 簡単な解説に引き続いて

 シューマンのアラベスクが流れ出した

    

    

 ・・・・もう駄目!

 朝食を作るのも忘れて、イスに腰掛けて耳を澄まし

 ・・・・暫くすると、メモ用紙に

 この詩を書き始めてしまった僕・・・・・・・・

    

    

 薄曇りの空からは

 淡い秋の陽射しが室内に流れ込んで来ている・・・・・・・・

 僕は急いでお湯を沸かして

 美味しい紅茶を淹(い)れた

    

    

 二局目のシューマンの幻想曲に耳を傾けながら

 食卓に肘をついた左手の手のひらの上にアゴを載せ

 右手で、この行(ぎょう)を書いている僕。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・あたりには素敵な紅茶の香りが漂っている・・・・・・・・・

   

    

 ・・・・・と・・・・・

 ふいに野辺山に住んでいる K さんの事を思い出した。

 K さんは、この間のヤルヴィイ・ホールの音楽会で

 とても素敵な司会をされた方・・・・・・!!

 ・・・・・それから

 H 教授との三人の写真に入って呉れた

 明るく爽やかな女性・・・・・・・

     

    

 ・・・・・・ボンヤリと、こんな事を考えていたら

 ベランダの床板の上にキイロスズメバチが一匹

 物憂げに、あたりを這いまわっているのに気が付いた

     

      

 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・

 トロトロと、居眠りしそうな位いに幸せなひととき

     

       

 突然、本当に突然・・・・・・・僕はポツリと呟いた。

 「そうだ、そのうち、K さんの家に遊びに行ってみよう・・・・・・!!」

 ・・・・・・・って。