58. 澄んだ山

2001-1-11

 今朝、松原湖に向かって山を降りる途中、

 右手の八ヶ岳を見たら、山がとても澄んでいた。

   
   

 「キレイだな・・・・!」

 僕はハンドルを握りながら、心の中で呟いた。

   

   
 確か、ヘルマン・ヘッセの水彩画の中に、

 「澄んだ日」という美しい絵があったが、

 その絵が大好きだった僕は、案内所のドアーを開くと、

 急いでとって返してデジカメで山の写真を撮って来た。

    

   

 僕は八ヶ岳が大好きである。

 ・・・・特に雪に覆われた「ヤツ」を美しいと思う。

   

   
 いつの事だったろうか?

 凍てついた町の中から、夜遅く帰って来たときに見た

 青白い月の光を浴びて、ゾッと身震いするほどに

 冷たく冴え亘っていた八ヶ岳。

 ・・・・あの時の山の美しさを、僕は死ぬまで忘れないだろう!

    

   
 ・・・・そして・・・・

 星々の冴えた今夜も・・・・

 八ヶ岳は、あの夜のように、ヒッソリ閑と凍てつく事だろう・・・・

   

   
 ・・・・・

 そうだ、こんな夜は、夕食に温かいスープを作ってみよう。

 大切りのジャガイモとキャベツとブロッコリーを

 深鍋でコトコトとじっくり煮込んたあと

 コンソメのもとで味を付け、

 塩、コショーをした美味しいスープを・・・・!

   

   
 ・・・・そして・・・・

 ・・・・深皿によそったスープを

 ふうふう言いながら、

 汗を掻き掻き、口に運ぶころ

 八ヶ岳は、イスラム寺院の尖塔にあるような

 月と星に照らされて、

 青白く押し黙っていることだろう・・・・!!

   

   
 ・・・・・・・

 ・・・・・・・

   

   
 それにしても、この山あいの小さな町は

 どうして、こんなに美しいのだろう?

   

   
 ・・・・・・・

 ・・・・・・・

   

    
 そして、この町に住んでいる僕は

 どうして、こんなに幸せなのだろう?