( 1999-04-16 )
夕方。高原美術館まで散歩に出掛けた。
アルタイル通りの遠くの坂を上(のぼ)りきり
いつもの様に、遥か彼方を見上げると
落葉松と白樺林の向こうに
淡く水色に澄んだ空が見えた。
・・・・・フンワリと浮かぶ
遠い思い出のようなサフラン色の雲。
と、・・・・その雲の下を一羽の燕が
大きな弧を画いて飛び去った。
燕の姿の愛らしく、そして何と無邪気だった事か・・・・!
僕がまだ国民学校の一年生の頃、
戦時色の強かった校庭で
大空に憧れて、両腕を展げ(ひろげ)
「ブーン」と言いながら
戦闘機になった積りで
校庭を駆けずり廻っていた
あの頃の気持ちで
その燕が美しい空の下を
飛んでいる様な気がした。
その燕の画いた弧の美しかったこと!!
「 Golondrina !!」 ( 註、スペイン語で「燕」の意)
・・・・誰も居ないアルタイル通りで
思いきり大きな声で叫ぶと
僕は、大好きなスペイン語の歌を
空に向かって大声で歌いだした・・・・。
燕よ!!
お前は何処に行くの・・・・?
そんなに美しく
・・・・そして、そんなに喜々として・・・・!!
美しい歌。
美しい詩。
僕はスペイン語の歌の中で
この歌が一番好きである。