200712 月の高原日記

     

2007-12-01(土)     晴のち一時雪     ヒュッテ     気温(最低= -2℃、最高= 8℃)

 4日程ドンヨリと曇った日が続いていたが、とうとう痺れを切らした様に、夜になってから雪が降り出した。
 と言っても、今回の雪は、粒は小さいけれど、そんなに積もりそうな雪ではない。 って言うのは、曇り空の上にウッスラと星明りが見えているからだ。

      

2007-12-02(土)     晴     ヒュッテ     気温(最低= -3℃、最高= 9℃)

 目を覚まして、窓を開けると、昨夜の雪は積雪 3cm ・・・・・ヤハリ思っていた通りである。
 でも、雪は雪! シャッターを上げると、早速、デジカメをぶら下げて、

 午前中は、郵便物の整理。
 いつも思うことだけど、意外と時間を食うのが、この郵便物の整理だ。
 忙しい時など、ウッカリしていると、1週間以上も郵便物をほったらかしている事がある。
 ・・・・・・こんな時、一番注意しなくちゃならないのが郵便物の整理である。

 ウッカリすると、年金や保険の需給や支払に関するものがあるからである。
       

     
雪の朝はとても静かです。

空気はピリリと引き締まって頬に痛く
外に出ると、寒さの為、体全体が引き締まります。

こんな日は
終日家の中に居て、ストーブで部屋を十分い暖め・・・・・・
忙しくて、今迄放って置いた
郵便物に目を通したり
書類の整理に精を出す事に致しましょう・・・・

   

    

2007-12-04(火)     曇     ヒュッテ     気温(最低= -3℃、最高= 6℃)

 一日中、ヒュッテの中の片付けものと整理と原稿書きに追われる。
 ところで、僕には、一つ変な癖がある。
 ・・・・・・それは、家の中がキチンと整理されていないと落ち着かないという困った性格である。
 だから、実によく片付け物をするし、片付け物をする事が余り苦にならないようである。
 否、それよりも整理をしたり、片付け物をすること自体が、楽しいとさえ感ずることがある。

 それとは別に・・・・・・以前、どこかで書いた筈だが、「別荘生活で、一番の楽しみは、別荘を住み心地をよくすることである」と。

 そんなこんなで、今日も片付け物に生を出している次第だが、フト、今、気がついて困ったことがあるのに気が付いた。
 片づけ物に気を取られ過ぎて、明後日が締め切り日になっている、原稿があるのを、たった今、思い出したからである。

    

2007-12-09(月)     晴     ヒュッテ     気温(最低= -3℃、最高= 7℃)

 僕が好きな冬景色の一つに、葉の落ちた高い木の梢に、一羽のカラスが止まってカアカアと鳴いている、淋しげな姿がある。 ・・・・・・将に・・・・・・往時の小学唱歌 「冬景色」 2番の

         烏鳴きて木に高く
         人は畑に麦を踏む
         唯、水鳥の声はして
         未だ覚めず岸の家

 の世界である。

 ところで、ヒュッテの庭先のカラマツの梢にも、よく、野鳥が止まって、テリトリーを張っていることがある。
 そんな時、僕はダイニング・テーブルに肘を突いて、掌(てのひら)に顎を載せ、何も考える事なく、ただ無心に、その姿をジッと眺めている事が多い。 
 今日もそうである。
 葉の落ちたカラマツの梢の先の少し下方の枝の上に、中型の野鳥の鳥影が見えていた。
      

   


 ・・・・・・遠目で、よく分からないけど、察するところ、どうやらヒヨドリのようである。
 本当ならば、双眼鏡を持ってくればいいのであるが、そんな余裕はない。とにかく写真に収めたいものと思い、なにはともあれ、デジカメにその写真を数葉おさめたあと、僕は、例の如く、シンミリとした気持ちで、その梢の上の黒い野鳥の影にジッと瞳をこらした次第である。

 「美しい!」 そして 「淋しい!」 そして更に 「侘しい!」 僕は思わず、太い溜息をもらした。
 ・・・・・・そして、その後、直ぐに心の中で、こんな事を呟いていた。
 (・・・・・・オレは今、こうして、この人気のないヒュッテに独りで棲んでいるけど、その僕は仕合せなんだろうか?) と・・・・・・
 ・・・・・・その瞬間、僕は自分の心の中で、その問いに対する答を探そうとしてみたが、自分の心の声は聞こえて来なかった・・・・・と、いうよりも聞こえて来る筈も無かった! ・・・・・・というのは、普段、そのような問いを自分の心の中に見付けようとした事が無かったからである。

 ・・・・・・というよりも、その瞬間、僕は、自分の心の中に、無理をしてその場の答を探すのではなく・・・・・・心の中に、自分の本当の気持がが響びき始めるのを待っていたのかも知れない。
 ・・・・・・そんな事があったためだろうか? そのあと僕は、その儘の姿勢で、この野鳥の姿を、どの位の間ながめていただろうか・・・・・・・?
 暫くしてから・・・・・・フト、心の中にこんな言葉が響いているのに気が付いた。
 「・・・・・そう、確かに、家族と離れて、このヒュッテに、独りで棲んでいるのは、淋しい事に違いない! でも、その寂しさがなかったら/・・・・・・この場の美しさは気が付かなかったかもしれない・・・・??」
 「・・・・・・とすれば、この場の美しさが感じられる、この生活を、心密かに・・・・・・・僕は仕合せだと、考えている筈だ・・・・・・・」
 そう思った瞬間、(オレは何て仕合せなんだろう!)
 と沁み々々と、心の中で思った次第である・・・・・・・

 色即是空 空即是色 受想行識 亦復如是

 生きてるって、何て素敵なんだろう!!
         

2007-12-10(月)     晴     ヒュッテ     気温(最低= -7℃、最高= ℃)

 今朝0時半過ぎ、山を降りて町に A31 さん宛の手紙を出しに行って来た。
 ヒュッテからの出掛け、自動車に乗ろうとしたら、窓と言う窓が氷で覆われていたので、7〜8分掛かってスクレーパーで氷を落とした。 屋外の気温はマイナス7度。 -7℃というのは、結構な寒さだけど、体がシャキッとしてとても気持ちがいい。 町からの帰り道、高原野菜の畠の真中に車を止めて外に出て、澄み切った星空を眺めていた。
 大熊、小熊、カシオペア、ケーフェウス、大犬、子犬、獅子座に御者座!
 本当に何ていう美しさだろう・・・・
 昔、船乗り時代に、太平洋の真中で、毎晩の様に親しんで来た星座たち!
 ・・・・・・勿論、当時は、空の星達は鑑賞するものではなく、船位決定の為のデータに過ぎなかったけど・・・・・・
 体が冷えてきたので気が付くと、20分ほど寒さの中に立っていたようだ。

 A31 さんは中学時代の同級生。
 色白の美しい女の子で、素晴らしく勉強の出来た子だった。
 ・・・・・・恐らく、僕達のクラスの中で、一番勉強の出来た女の子だったのではないだろうか?
 今日に至るまで、彼女と言葉を交わしたことは余り無かったけど、僕が50歳になった頃、或る日、突然、僕は、彼女に手紙を書かなくちゃいけない事に気が付いた。 しかし、A31 さんの連絡先なんて僕に分かる訳が無い。 だって、もともと僕と彼女なんて、殆ど話をした事が無かったからだ。    
 以来、20年近く、A31 さんに手紙を書こうとしても、遥として、僕には彼女の行方が分からなかったが・・・・・最近、偶然出会った、小学校時代のクラスメートの M子さんが、彼女と同じ名門高校に行っていたことが分かり、僕が「 A31 さんに手紙を書きたいんだけど」と言って、その訳をはなすと、M子さんは、「こんなに仄々(ほのぼの)とした話、今の若い人達に聞かせてやりたいわよ!」と言いながら、半月ほど掛かって、A31 さんの連絡先を見つけ、彼女の承諾をとった上で、彼女 の連絡先を僕に教えて呉れたのである。

 それにしても、M子さんと A31 さんが、都内の、名門高校の同窓生だったなんて・・・・・・この世の中は何んて不思議なんだろう!・・・・・と沁み々々と思ってしまう。

   

2007-12-27(月)          ヒュッテ     気温(最低= ℃、最高= ℃)

 

       

 

     
上の緯度経度と標高の看板は
・・・・暮も押し迫った・・・・今日、師走の27日に
「工房あらい」 の公男さんが掛けて下さったものです!!
どうです? 素敵でしょう?!

実は、ずっとずっと以前から、
このヒュッテの門柱に、我家の緯度と経度が
表示された標識を付けたいと思っていたのです。
・・・・・・それが可能となったのは
我家の正確な緯度と経度と高度が分かったからなのです!

何せ、この緯度と経度は
国土地理院 125,000 の地図よりも、緯度経度とも
秒数にして 7〜8秒ほど正確だからです。