アリガトウ・・・・・!!
消えた自転車を 6時間で
見付けて下さった
お巡りさん達!
このページは・・・・・・
このサイトの管理者の不注意で、長男の大切な自転車を持ち去られてしまった筆者が
その自転車の盗難届けを近くの交番に出した所、6時間で、その自転車が見付かったと言う
夢の様な本当の話です・・・・!! 警察の皆様、本当にアリガトウ御座いました。
( 注、このページの内容は “気まぐれ高原日記” からの抜粋です!)
最後にひと言だけお詫びを申し上げて置きます。
このページのお話は、2010 年 12 月 29 日から 2011 年 01 月 03 日までのお話なのですが
日記の文章が長かった為、何回も何回も文章のアチコチを直しているうちに、ナントカカントカ
このお話の文章が読めるようなになったのは、2 月の 19 日の午後になってからの事でした。
遅くなってしまって、本当にゴメンナサイ・・・・・・!
2010-12-29 (水) 晴 仙了庵 気温(最低= 3℃、最高= 10℃)
朝食後、家内に頼まれて、お正月用品の買物に一緒に出掛ける事にした。
『何処に行くの?』
と訊いてみると
『駅の向こうの東急スーパーよ。お買物の量が多くなりそうなので・・・・・』
という事なので、今回はじめて息子の自転車を借りる事にした。
・・・・・・って言うのは、僕が普段乗っているマウンテンバイクには、買物カゴが付いていない為、買物には実に不便に出来ているからである。・・・・・・暮の東急スーパーは買い物客が多かったが、それでも30~40分もすると、2人の買物は全て終り、家に戻って来ると、力仕事の運搬役の僕は2台分の大きな荷物をヤッコラサヤッコラサと2回に分けて家の中に運び込み、荷物の搬入が終わると、そのままダイニングルームでやりかけていた年賀状の制作に取り掛かってしまった。
僕の今年の年賀状の印刷枚数は115枚。
その115枚の年賀状の文面と宛名面の全ての印刷を終えると、その次は、家の中の雑用に追われながら 1枚1枚の年賀状に、ボールペンでひと言づつのご挨拶を書き込みを始めたが、放ったらかしてあった自分の部屋の片付け物が多くて、年賀状の挨拶を書き終わって、近くの郵便局本局に出しに行ったのは、もう翌日(12月30日)の午前2時過ぎ・・・・!!
余りの忙しさに追われて疲れ切っていた私は、郵便局から帰って来ると、サッと風呂に入り、そのまま寝床にスベリ込むと、猛烈な勢いで朝までグッスリと寝込んでしまいました。Z-Z-Z-Z
2010-12-30 (木) 晴 仙了庵 気温(最低= 2℃、最高= 7℃)
朝食後しばらくしてから、家内は今日もお正月の買物に出かけたが、そのあと家に残った私は例年のように息子と2人で、門や勝手口の松飾や輪飾りなどの取り付けに精を出した。
その松飾掛けも終り、ホッとした私が
『さあ、これでお正月が来るぞ!』
と、ルンルン気分でいると・・・・・・程なく買物から帰って来た家内が私に言った
『ねえ、家の前に置いてあった Cocciro の自転車が無いわよ・・・・・』
と言ったので
『あ・・・・・そう? じゃあ、ヤッコサンの自転車、駐車場にでもあるんじゃない?』
(・・・・・・そんな事なんでオレに聞くんだよ?)と思いながら、そう言うと、非常に驚いた調子で家内が私に言った。
『あら、イヤだ! 昨日、Cocciro の自転車使ったの、パパでしょ?』
『え、オレ?』
・・・・・昨日まで息子の自転車を使った事など全く無かった私は、きのう息子の自転車を使った事などは全く忘れていて・・・・・・不意をつかれた感じで、昨日の事を考えてみた・・・・・
『ア~、そう言われれば、そうだったよね。 あなたと買い物にいった時、確かに使ったよね・・・・・!!』
そう言うと、私は慌てて外に出て、昨日の午前中・・・・・買物から帰って来た時に、息子の自転車を置いたわが家の前の塀際に目を向けてみた。息子の自転車は確かに無い・・・・・!!
私は慌てて、わが家の駐輪場にも行ってみた。
息子の自転車はそこにも無い・・・・・
慌てた私は、大急ぎで自分のチャリンコに飛び乗ると、アチコチと近所の路上を走り回ってみたが、息子の自転車は影も形も見当たらなかった!
この時点で、僕は息子の自転車が盗難にあったことに、初めて気がついたのである。さあ大変!
自分の自転車が盗難にあったと知ったら、知的障害の息子がどんなに淋しがるだろうと思うと、本当に申し訳ないという気がする!!
僕は家内と相談をして、至急、自転車の盗難届けを出す事にした。
盗難届けといえば、一番手っ取り早いのは、駅前の交番に届けを出すことである。
・・・・・僕は自分のチャリンコに跨ると駅前までペダルを踏み、交番に顔を出してみた。僕が交番の前に行き
『済みませんが・・・・・』
と声をかけると、若くて元気の良さそうな警察官が
『どうなさいましたが・・・・・?』
と、にこやかに声を掛けて下さった。
『アノ~、自転車の盗難にあっちゃいまして・・・・・』
というと、その若いお巡りさんは、カードボードに挟んだ盗難届け用紙とボールペンを持って来て、僕にいろいろな質問をしながら、盗難届けに必要事項を書き始めた。
・・・・・まず、日時、盗難場所から始まって
『自転車の色 は?』
『グリーングレイです』
等々と質問は続いて行ったが・・・・・・やがて
『登録番号は?』
と聞かれて、私が
『イヤ~、家の中探したんですけど、チョット見当たらなかったものですから・・・・・』
と答えると
『それでは、車体に名前は書いてありますか?』
『書いてあるんですが、もう半分落ちかかっちゃっているかも・・・・・』
と言うと、その警察官は少し顔を曇らせて
『・・・・・登録番号が分からなくて、持ち主の名前が消えちゃってると、ムツカシイかも・・・・・エ~ト、その自転車を買ったお店屋さんに行ったら、登録番号分かりませんかネ?』
と言われたので
『そうですよね・・・・・登録番号が一番確かですものね。 分かりました。それでは、これからその自転車を買った自転車屋さんに行って聞いてみましょう・・・・・・店は近くにありますので・・・・・・、』
・・・・・てなワケで、駅から5分ほどの所にある五叉路の角の自転車屋さんに行って聞いてみると、わが家の自転車の購入時期が大分前だった為、記録が残っておらず
『申し訳ない・・・・・』
と言って、店主のHちゃんは頭を掻いた。こうなれば、もう、わが家で登録番号を探す以外に道は無い。
僕は改めて家に戻り
『登録番号がないと、手がかりがないので、見つけるのが難しいらしいよ・・・・・』
と、交番で聞いてきた事を家内に話すと、家内は
『・・・・・そう? じゃあ、よく探してみるワ・・・・・・』
と言ったあと、アチコチの引き出しなどを20分位探していたと思ったら、
『あった。あった。あったわよ・・・・・・ホラ!!』
と登録書類を持って家内が僕の所に飛んで来たので
『ヨ~シ、それなら、もう一度、駅前の交番に言って来るよ・・・・・』
と言って、ボクはマウンテンバイクに飛び乗った・・・・数分後、僕は再度、駅前交番に顔を出した。
交番に着いてみると、先刻、僕に応対して呉れた若い警察官と目が合ったので、開口一番、ボクは大きな声で言った。
『いや~先ほどは有り難う御座いました。 家に帰ってから、家内に “登録番号がないと、手がかりがないので、見つけるのが難しいらしいよ・・・・・” って言うと、家内がアチコチ探したら登録番号が出て来ちゃったもんですから、こうして、もう一度、息子の自転車の盗難届けにやって参りました。』っていうと、その警察官は顔をほころばせて
『ヨカッタデスネ! ・・・・・・それでは、被害届を作りますので・・・・・・・この用紙に必要事項を記入して下さい。』
と言いながら、僕にイスをすすめ、自分も僕に向かって事務机の向こう側に座ると、
『それでは、先ず一番最初に、お名前とご住所を枠の中に・・・・・・そうです、そこです・・・・・・書いて下さい。 それから・・・・・・』
と、丁寧に教えて下さり、それが済むと、今度は、自転車が置いてあった場所、自転車の色、盗難にいつ気がついたか etc. etc. に就いて、細かく質問をし・・・・・私が答えると、その内容に従って、必要事項を細かく記入し続け、暫くすると・・・・・・
『・・・・・・さあ、出来上がりました。 それでは、ここに捺印と・・・・・・それからスミマセンが、左手の人差し指のスタンプをここに戴けませんか・・・・・・?』
と言いながら、スタンプ台を差し出したので、僕は左人差し指で軽くスタンプ台に触れ、言われた所に左人差し指のスタンプを押すと、その若い警察官は人差し指のスタンプインクを拭くように、ティッシュペーパーを差し出しながら
『これで全て終りです。お忙しい所、ご苦労様でした。』
と言ったあと、更に言葉を続けて
『・・・・・・あ、それから、自転車が見付かった場合は警察の方から、その旨の連絡が行くと思いますから・・・・・・・』
と、付け加えて説明して下さった。ここで、ひと言付け加えさせて頂くと、自動車の免許証の書き換えなどでお世話になった時を除くと、こんなに長い時間、ボクが交番、すなわち警察にいた事は初めてのことである。
そして、総じて言えば、警察という所は、どちらかと言えばオッカナイ所という感じがしていたものだが、今回の件では、交番のお巡りさんは、こちら側の立場に立って一生懸命に応対して下さった事が、とても嬉しく、又、好感がもてたことは、是非、特記して置きたいと思います。・・・・・・さて、交番から家に帰る途中も、今回の件では、息子に対して本当に申し訳ない事をしてしまったと、淋しく思っていた事もあり、家に帰ると、ボクは早速、家内に言ったものである。
『ところでさあ、警察の人達も一生懸命応対していてくれるけどさア・・・・・・デコの自転車、まず出て来ないンじゃないかなと思うけれど、あなたはどう思う?・・・・・・だってサア、犯人が、自転車を何処かに乗り捨てれば・・・・・・分かるかもしれないよ! 放置自転車と言うことで! でもさア、犯人がデコの自転車をズ~~~ッと乗り回していたら・・・・・・そうしたら、お巡りさんだって絶対に見付けることが出来ないと思うよ。 ダッテ、イイカイ? 例えば、巡回中の警察官が町の中を歩いて行くとするよ・・・・・・すると、向こうから、デコの自転車を盗んだ犯人が自転車に乗ってやって来た場合、その警察官は、向こうからやって来た男が乗っている自転車が盗品だって、どして分かるんだい?・・・・・・まあ、普通だったら、見逃しちゃうんじゃないの?』
『そうよねえ・・・・・・そう言われてみれば・・・・・・・』
『だからさァ~・・・・・・デコに新しい自転車買ってあげようじゃないか?』
『あら、どうして?』
『だってさァ・・・・・・・年が明けたら、直ぐに、卓球の練習が始まっちゃうし、卓球の練習に行く時は、いつも、自転車に乗って行くじゃないか? その時、自転車が無かったら、寒い中、トボトボと歩いて行くこと考えたら、ナンカ可哀想になっちゃってサ~・・・・・・』
『それも、そうねエ~? 買ってあげようか~?』
『・・・・・・そうしようよ! なんか、オレ、デコに申し訳なくってさ~・・・・・・』
『ええ・・・・・・、じゃあ、そうしましょ~!!・・・・・・』・・・・・・っていう訳で、早速、2人揃って、先刻、自転車の登録番号の事でお世話になった五叉路の角の自転車屋さんに出掛けた次第である。
さて、僕たち2人が揃って自転車屋さんに行ってみると、店のマスターのヒデちゃんと、お兄さんのマーちゃんが驚き声で、僕たち2人を向かえて呉れた。
『アレ~? 今度は二人揃っちゃってどうしちゃったの?』
『いやあ、さっき話したようにサア息子の自転車を盗られちゃったのが、息子に申し訳なくってさ・・・・・・だから、自転車を買いに来たって訳け 』
『でも、盗難届け出したんでしょ?』
『ウン、有り難う! さっきアレカラさあ、家に帰ってもう一度、アッチャコッチャ探したら、登録番号が出てきたので、盗難届け出した事は出したよ・・・・・・・でも、十中八九、出て来ないと思うよ・・・・・・だってさあ、犯人が何処かに自転車を放って置けば、話は別だよ。 だけどさァ、そうじゃなくって、犯人が自転車を乗り回していたら、お巡りさんが分かる訳ないじゃん・・・・・・!! しかも、自転車を放って置いて、盗られちゃったのはオレなもんだから、家内に頼んで、買ってやる事にしたんだよ。』
『そうなの・・・・・・前の自転車、26インチだったけど同じのあるかしら?』
と、家内。
・・・・・・すると、店主のヒデちゃんは、頭を掻き掻き
『今、前のとスッカリ同じのはないけど・・・・・・どうしよう?』
と言ったのを引き継いで、家内が
『それじゃあ、取り寄せておいて頂こうかしら・・・・・・』
と言うと、ヒデちゃんのお兄さんのマーちゃんが
『ねえ・・・・・・そんなに急がないで、少し様子を見たほうがいいんじゃないの? だって、警察の方だって、キチンと対応しているはずだし・・・・・・それに晴ちゃん(筆者の僕のことです!)さあ、警察官の勘てオレ達が考えているよりズッと凄いよ!! だからさあ・・・・・ オレ、暫く様子を見ていた方がその方がイイと思うけどなア・・・・・・・? 一週間とか、ひと月とか様子を見て、それでも出て来なければ、その時に注文した方がイイと思うよ。 それにさあ、今、急いで買っちゃって・・・・・・そいでさあ、その後で、盗難車が見付かっちゃったらどうすんの? そしたら、息子さんの自転車が2台になっちゃうよ・・・・・そしたら、息子さん、右足に1台、左足にもう1台の計2台の自転車に、同時に乗らなくちゃ勿体無いよ。 ・・・・・・そんなの大変だと思わない? アハハハハハ・・・・・・!!』
冗談好きのマーちゃんは、こう言って、大きな声で笑った。
・・・・・・何せ、マーちゃんも、ヒデちゃんも、僕も、50年ほど前に、同じ小学校を卒業した地元の仲間どうしである。
『そう言われてみればそうだよね・・・・・・?! じゃあ、マーちゃんのいうとおり、少し様子を見てみっか?』てな訳で、家内共々、我が家に戻って来た僕は、家に帰ると今度は直ぐに自分自身の買物に出掛ける事にしたた。何せ、一昨日、アドビーから届けられた最新のホームページ作製ソフト Dream Weaver CS5 の参考賞も買いたいし、お正月に見る DVD、そのほか、大晦日の前にアレも買っておかなくちゃいけないし、コレも買っておかなくちゃイケナイ。
という訳で、今度は中型のリュックサック姿で、マウンテンバイクに乗り、スーパーの島忠で家内に頼まれた物も含めて幾つもの買物を済ませ、それが終わったら、今度は100円ショップに行き、これまた3~4点の小物を見付け、最後に本のデパート“あおい書店”に入り、パソコン・コーナーに立ち寄ったら、もう駄目!! たちまち、数冊の本の立ち読みが始まってしまい、もしかしたら、1時間以上も立ち読みをしていたのかも知れない。 兎に角、脚が疲れたので、チャリンコに乗って家に帰ると、人待ち顔の家内が僕に声を掛けた。
『ネエ、何処に行ってたの?』
『何処にって? 買物に行ってたんだよ。だって、アナタにも色々な買物を頼まれていたし・・・・・・島忠からダイソーに寄ったでしょ・・・・・・それから、あおい書店によってパソコンとインターネットの本を買って来たんだけど・・・・・・どうしたの?』
『だって、携帯に何回も電話したって出て呉れないし、メールしたって返事は来ないし・・・・・・』
と、家内は鼻を鳴らした。
『でも、そんな事を言ったって、オレだって別に遊んでいた訳じゃないんだよね! それに、オレ、歳の所為で、ケッコー耳が遠くなってるし~~・・・・・・でもサア、一体、何があったんだよ?』と家内に訊くと
『だってェ・・・・・・警察から電話があったんだもの!! 自転車が見付かりましたって・・・・』
『え? 自転車が見付かったってェ~~? ホント? ウッソ~~!!』
『そう思うでしょ? でも、コレ、本当のお話なの・・・・・・!!』
『ホントかよ、それ??? だって、駅前の交番に届けてから、まだ 6 時間しか経ってないぜ~~~~ェ!! 』
『でも、ホントなのよ。だって、警察から電話が来たんだもの・・・・・・』
『警察って、駅前の交番から?』
『それが、全然違うの・・・・・・駒込警察からなの・・・・・・』
『コマゴメェェェ~~~??』
・・・・・・家内の言葉を聞いて、僕は思わず、大声で叫んでしまった。
『そうなの、駒込警察なんですって・・・・・・』
『オイオイオイ・・・・・・・何で、駒込なの・・・・・・???』
『でしょう? 私もビックリしちゃったわよ。』
『全くだよねェ! ・・・・・そんで、犯人も捕まったのかな?』
『そう、後で、犯人と一緒に警察の人が、盗難場所の確認に来るんですって!』
『ふーん、犯人と一緒に・・・・・?!』
『そう、そんで、犯人と一緒に7時ころに、お宅に行きますが、お会いになりますか? ・・・・・って、訊かれちゃったけど・・・・・・(怖かったので) “いいです。結構です。”って断わっちゃったワ! よかったかな?』
『いいよ、いいよ。 それで・・・・・・・』
・・・・・・居間に入ると、ソファーに座ってテレビを見ていた息子に僕は言った
『ヨカッタよ、Cocciro 。Cocciro の自転車見付かったんだって!! ヨカッタよね~~!!』
『うん、よかった・・・・・!』
『パパも嬉しいよ・・・・・』そんな一連の会話が終わると、僕は家内に言った。
『さっき、駒込警察の人、7時頃、来るって言ってたよね?』
『そう、たしか7時頃って言ってたわ・・・・・・』
『よ~し、それじゃあ、今夜も寒いから、お巡りさんが来たら、温かいものを飲んで頂けるように、今、オレ、近くの自販機でロイヤルミルクティーか何か買って来るから、お湯を沸かして、お鍋の中に入れ、その中にミルクティーを入れて熱く暖めておいて呉れよ。・・・・・・でも、いいかい? そのお湯とミルクティーを調理器にかけちゃダメだよ。 爆発しちゃうからね・・・・!』
等々、準備をしていると
『ピンポーン!』と、玄関のチャイムが鳴った。
『ハイ・・・・・』
受話器を取った家内は、モニターに見えている外の人と二言三言話したと思うと、直ぐに言った。
『駒込警察の人ですって。もう、現場検証はおわっている見たい・・・・・』
僕と家内が玄関で出迎え
『中にお入り下さい。外は寒いですから・・・・・・』
と言うと、警察官は玄関のコンクリ土間の中に入り
『有り難うございます。 ここで結構です。 報告だけさせて頂きます。』
と言葉少なに言ったので・・・・・・・
『本当に有り難う御座います。 僕がチャンと鍵を掛けて置かなかった為に、皆様に、大変、ご迷惑をお掛けして・・・・・・ 本当に申し訳け御座いません。』
と謝ると
『いや・・・・・でも、よかったです! お役に立てて・・・・・・』
と警察官。
『でも、本当に有り難う御座います。実は、私の不注意で、皆様にご迷惑をお掛けした自転車は、私の自転車ではなくって、知的障害をもっている息子のモノでしたので・・・・・・もう・・・・・・息子に対して申し訳なくって! もう、本当にどうしようかと思っていたとこなんです。 ですから、本当に有り難う御座いました。』
という言葉から、家内を含めた3人の会話が始まった次第である。
その警察官の話によると、事の次第は概略、次のような事であったらしい。その警察官の同僚の警察官が、今日の午後の巡回中に、自転車に乗った不審な感じの中年の男性に出会ったので、職務質問をしたところ、ますます腑に落ちない感じがしたので、彼が乗っていた自転車をみたら、中野の登録番号だったので、本部に問い合わせて調べて貰ったら、今日の正午前後にその登録番号の自転車の盗難が届けが出されていたので、“御用” (←何という言葉だったかハッキリ憶えておりません!)という事になったとの事でした。
それにしても、僅か6時間で、無くなった息子の自転車が見付かるとは!!
僕が改めて
『本当に有り難うございました。・・・・・・っていうのは、障害をもっている息子に、本当に、申し訳なくて、心からゴメンナサイって思っていたものですから・・・・・・』
と、お礼を言うと、そのお巡りさんは
『我々は、自分達の職務として、当然の事をしたに過ぎないのに、その様に喜んで頂いて光栄です! 最後になりましたが、息子さんの自転車は、年が明けた1月の4日頃にお届けに上がります。 では、本日はこれで失礼致します。』
と言って、敬礼をなさったので
『あ、チョット待って下さい・・・・・・』
と言うと、家内に
『ちょっと、ちょっと・・・・・・アレ、持ってきてよ。 早く! 早く!』
と言って、家内に持って来させた、熱く温めたロイヤルミルクティーを2本差し出して
『お寒いところ、本当に有り難うございました。これ、後ほど召し上がって下さい!!』
と言うと
『有り難うございます。 でも、我々は自分達の職務として、当然の事をしているだけですので、戴く訳には参りません。 そのお気持ちだけを、有り難く頂戴致します。』
と、仰って、どうしても受け取って下さらないので・・・・・・
『そうですか? それでは、残念ですが仕方ございません。 今日は、お寒い中、本当に有り難うございました。風などお召しにならないようにお帰り下さい・・・・・・』
と言うと
『そんなに喜んで頂いて光栄です。・・・・・では、これで失礼致します!』
と言ってから、サッと敬礼をして帰って行かれました。その警察官が帰られたあと、外の門扉に鍵を掛けながら上を見上げると、北の空の雲間に、お星様が一つ明るく輝いていたのが、とても印象的でした。
2011-12-31 (金) 晴 仙了庵 気温(最低= 3℃、最高= 8℃)
今日は大晦日。
朝食後、ひとわたり家の周りの掃除をし、片付け物をした後、駅前の交番に出掛けた。 きのうの6時間スピード検挙の報告とお礼の為である。
きのうは3人いたお巡りさんは、今朝は1人だけだった。 でも、顔見知りの若い警察官だったので、
『お早うございます。きのうは大変お世話になりました。実は、きのうのお昼過ぎに、自転車の盗難届けに来た者なんですけど、きのうの夕方、駒込警察のほうから自転車が見付かったって 、連絡があったんですよ・・・・・・ それで、ビックリしたんですけど、こちらの交番に我が家の息子の自転車が盗難にあったって届けてから、わずか6時間後に、その自転車が保護されたって、連絡があったんです。 いいですか? ・・・・・・・6時間ですよ! わずか6時間!』
僕は、夢中になって6時間を強調した。
すると、その若くて元気のよさそうな警察官は、棚から分厚い帳簿を取り出すと机の上に広げ
『お名前は?』
と訊いたので、自分の名前を告げると、その警察官はその帳簿を人差し指で帳簿を追いながら、
『ああ、ありました。ありました。 ・・・・・・でも、あってヨカッタですねェ』
と、帳簿から目を上げながら言って下さったので
『・・・・・・有り難うございます。 でもホント、きのうコチラの方に届けを出しに来た時に、登録番号があった方が、ずっと早く見付かりやすい・・・・・・と言われたので、家に帰り、家内共々、シッチャキになって登録番号を探し当て、改めててコチラの方に来たら、丁寧に応対されて、盗難届けを受理して下さったのですけど・・・・・・でも、それから僅か6時間後ですよ! 6時間・・・・・』
僕は盛んに6時間を強調した。
すると、その警察官は少し微笑みながら
『よかったですね、早く出てきて・・・・・・。 それから、そんなに喜んで頂けて、我々も嬉しいです。 でも、わたし達としては、自分達の職務としてやっている訳ですがら、至極、当然の事をしているだけなんです。 でも、お役に立ててヨカッタと思いますよ・・・・・・』
『なる程・・・・・・分かりました。 それでは、これで失礼致しますが・・・・・・交番の皆さんに宜しくお伝え下さい。 きのう自転車の盗難届けに来たヤツが、大喜びで、自転車が見付かったって報告に来たって。 よろしくお願いしますよ・・・・・』
『分かりました。』
と言って、軽く会釈をして下さったので、ボクも、自分のセーリングキャップのツバ(僕の本職は船乗りでした!)に軽く右手を触れて挨拶をして交番を後にした。その次に僕が向ったのは当然の事ながら、五叉路の角の自転車屋のKモーターサイクルである。
店に顔を出すと、ヒデちゃんとマーちゃんの2人が居たので
『お早う~~ッス! 今、駅前の交番に行って報告して来たんだけど、おととい掻っ払われた、我が家の自転車見付かっちゃったんだよ・・・・・・ね! 盗難届けだしてから、僅か6時間だぜ。』
『よかったね~~?! んで・・・・・・何処で見付かったんだって?』
『何でも・・・・駒込だったって話だったけど・・・・・・・』
『コマゴメェ~~~~??!!』
マーちゃんが、思わずスットンキョウなこえをあげた。
『ウン、そうだってさァ・・・・・・ 何んでも、巡回中のお巡りさんが、挙動不審な男と行き合い、職務質問したら、その男が乗っていた自転車が、ウチの息子の自転車だったんだって・・・・・サ!!』
『いや、晴ちゃん・・・・・・そうなんだよ! オレなんかも、時々、店で腰掛けて外を見てるけど・・・・掻っ払って来た自転車に乗っている人って、何んとなく分かるような気がするもの!』 etc. etc.
それから3人の井戸端会議が20分近くもつづいた次第である。
この自転車騒動の今年のお話は、これでオシマイ。
あとは、年が明けてから、自転車が届けられて、全巻のオワリってことになります。
・・・・・・チョン!・・・・・・話は変って・・・・・・
晩ご飯が始まって暫くしたところで、恒例の紅白歌合戦が始まった。
ご飯を食べながら、紅白を見ていると・・・・・・
歌手が変る度に、アーデモナイ・コーデモナイ・・・・・と、話に花が咲く。平和で楽しい、年末のひと時・・・・・・・
真夜中、少し前に、これも我が家恒例の 年越し蕎麦 を食べ・・・・・
紅白も終り、色々なお寺様の除夜の鐘の画面が流れても、“過去”一年間の我が家の話題に花が咲き・・・・・・3人とも、お風呂に入って寝床に入ったのは、新年の午前3時ころでした。2010 年もこれで終りです!!
皆様、よい年をお迎え下さい・・・・!!
2011-01-03 (月) 晴 仙了庵 気温(最低= 2℃、最高= 11℃)
新宿の世界堂に家内共々、家内の油彩の額縁を買いに行く。
そのついでに、伊勢丹の地下のアンデルセンに寄って、バゲットを2本買って来た。
僕は、朝食にバゲットを食べるのが大好きである。 ・・・・・・色々な店のバゲットの中でも、このアンデルセンのバゲットは特に好きである。午後3時頃だったろうか、近所の散歩に出掛け、ひと回りして家に帰って来たら、私の留守中に駒込警察からわが家に電話があったと家内が私に言った。
・・・・・・家内の言葉によると、今日の午後7時~9時ころ、駒込警察で保管しているデコの自転車を、わざわざ中野の自宅まで届けに来て下さるという事である。その言葉通り、午後9時すこし前、玄関のチャイムがピンポーンと鳴ったので、家内共々2人で門の所に出てみると、駒込警察の警察官お2人が自転車1台を伴って立っていました。
『ご苦労様です・・・・・・お寒いところ・・・・・・』
と言葉を掛けると、
『八岳さんですネ? ・・・・・・早速ですが、この自転車で間違いございませんか?』
と背の高い方の警察官が私に声をかけた。
・・・・・・薄暗い玄関先の灯りで、ハッキリとは見えないが、車体の色、前輪のうえに乗っている荷物カゴとその錆び具合は、将に息子の自転車である。
『ハイ、間違いありません。』
『・・・・・・鍵は、この鍵に間違いございませんか?』
と言いながら自転車の鍵を人差し指と親指でつまんで、僕の目の前に突き出された。
・・・・・・と言われても、僕も息子の自転車のキーホルダーの形まで覚えている訳ではない。
そこで、家の中にいた息子に向かって大声で声を掛け、出て来た息子に
『駒込警察のお巡りさんが、お前の自転車を持って来て下さったんだけど、お父さん、自転車のキーホルダーの形まで覚えていないんだけど、この鍵はお前の自転車の鍵かナ・・・・・?』
と言うと、息子は警察官の差し出した鍵を見て
『ウン、大丈夫! ・・・・・・これ、ボクの自転車の鍵です。』
と言った息子の言葉を引き取って
『・・・・・・と言う事でございます。 本当に有り難うございました。』
と言ったあと、言葉を継いで
『・・・・・・ところで、2~3お伺いしたい事があるのですが、お願い出来ませんか? もし宜しければ、外は寒いものですがら、玄関の中までお越し頂けると有り難いンですが・・・・・・』
と言うと、
『分かりました。 お役に立つ事でしたら・・・・・・』
と背の高い方の警察官が言ってくださり、玄関の土間に入ってきた2人を見て分かった事だが、背の低いほうの方(かた)は、昨年末、実地検証に来てくださったお巡りさんであることが分かった。 すると、その警察官が口を開いて
『コチラが、巡回中に不審な人物に出会い、職務質問をして、息子さんの自転車を見つけた当日の担当者です。』
と言って、掌で背の高い警察官を指し示した。
『なるほど・・・・・・それでは、お伺いしたいのですが・・・・・・ 実は、私が家内に “自転車を持って行った人が、息子の自転車を、何処かにうっちゃっちゃえば、放置自転車として見付ける事は出来るかも知れないけど、その犯人が息子の自転車を乗り回していたら絶対に見付からないと思うよ!” て言っていたンですが、同僚の方がこの間もおっしゃっていたんですが、何か、巡回中に職務質問をなさって、息子の自転車を見つけて下さったとか・・・・・・?』
『はい・・・・・・そうです!』
『そこで、伺いたいンですが・・・・・・どうして、息子の自転車に乗っていた人に職務質問なさったのですか・・・・・・?』
『はァ、・・・・・・と言われましても・・・・・・でも、何んとなく不審な感じがしたものですから・・・・・』
『不審な感じがネェ・・・・・? どうして分かるんだろ?』
というと、家内が傍から
『・・・・・・それは、もう、何て言うのかしら? 勘じゃないの? そうですよね・・・・・・』
と言うと、その警察官は
『はァ・・・・・何かがオカシイ・・・・・・と思ったものですから・・・・・・』
『なる程! ・・・・・・それで、どうなさったンですか・・・・・・??』
『それで、その男が乗っている自転車をしらべてみると、登録番号があったので、本部(?)にこの番号の盗難届けが届けられていないかと問い合わせてみると、その番号があったもンですから・・・・・・!』
『なる程! でも、オドロキましたよ! ・・・・・・だって、盗難届けをだしてから、たったの6時間ですよ! しかも、見付かったのが、わが家の近くじゃなくて、飛んでもなく離れた駒込だったもんですから・・・・・』
『はぁ!』
『それで、その男って若い人だったんですか?』
『いいえ、ある程度、中年の人です。ハッキリ申し上げられませんが・・・・・・』
『・・・・・・・ンで、何処に向かっていたんだろう?』
『品川って、言ってましたが・・・・・』
『シナガワ・・・・・・・? そんなんだったら、わが家から真っ直ぐ、品川に向えば、ずっと早く着いちゃったのにね~ 三角形の2辺の和より、他の1辺の方が短いのに・・・・・・』
『・・・・・・』
『でも、本当に有り難うございました。 って言うのは、知的障害のわが家の長男が大切にしていた自転車を、わたしの不注意で、持って行ってしまわれたものですから・・・・・・息子に対して、本当に申し訳なくて! ですから・・・・・・本当に感謝しているンです・・・・・・!』
『そんなに、喜んで頂いて、本当に光栄です!』
『・・・・・・それで、お願いが在るんですが・・・・・・』
と、前置きをしたあと
『私は、毎日、自分のホームページに日記を書いているんですが・・・・・、もし、よろしければ、今日の話を、その日記に書きたいんです。 それで、今日の日記を書いたらプリントしてお送りいたしますので、何処に送ったらいいのか、ご連絡先を頂戴したいのですが・・・・・・』
『・・・・・・・はァ・・・・・・でも、我々は、自分の職務として仕事をしているだけですから・・・・・・』
『それは、十分に承知しています。 でも・・・・・・息子の気持ちを考えると、今回の事は、出来れば日記に記しておきたいと思うんです。 ただし、この日記が皆様にご迷惑をお掛けしては、申し訳ありませんので、お送りするコピーをご覧になって、ご迷惑をお掛けする箇所がありましたら、ご遠慮なく仰って下さい。 訂正でも、削除でも、何でも致しますから・・・・・・』
とお話しますと、私の意志が固い事がお分かり頂けたのでしょうか、その警察官はご自分の勤務先の駒込警察署地域課のあとに係名と ご自分の 入江 というお名前と住所が記載してある名刺を手渡して下さったあと、ひと呼吸つかれると、お2人は
『それでは、これで我々は失礼致します・・・・・・』
と仰る(おっしゃる)と、軽く会釈をして帰って行かれました。
見送る私達夫婦も、玄関の外の門扉まで見送り、門を出て夜の闇の中に消えて行くお二人に
『今回は、本当に有り難うございました。 外は寒いですから、お帰りは、気をつけて下さい!』
と声を掛けてから、家の中に戻って来ました。・・・・・・これで、今回の自転車ストーリーは全て終りですが、最初のうちは・・・・・・年初から、こんなにラッキーな事があったのだから、今年は我が家に絶対にイイ事があると、無邪気に喜んでいたのですが、時間が経つにつれて、本当にイイ事があって欲しいのは、わが家ではなく、私の盗難届けを受理して下さってから、自転車を見つけて下さった警察の方々の上にこそ、素晴らしい事があって呉れればイイな!・・・・・・と、改めて沁み々々と思い始めている今日この頃です。
警察の皆様、 本当 に有り難うございました!!